数字でみる「台風」その3-台風の被害ランキング(死者数、被害総額、住宅被害)

数字でみる台風-3

台風編、最終回。

様々な観点から、歴代台風の被害の大きさをみてみよう。

※データ出典:デジタル台風 | 台風被害データベース(対象は1951年以降の台風。)

被害者(死者・行方不明者)数

「死者数と行方不明者数の合計」が多い台風。

上位には、気象庁が命名した台風が並んでいる。

気象庁が命名した台風

特に災害の大きかったものについては上陸地点などの名前を付けて呼ぶこともある。
戦後、気象庁によって命名された台風は以下の8つ。

  • 洞爺丸台風
  • 狩野川台風
  • 宮古島台風
  • 伊勢湾台風
  • 第2室戸台風
  • 第2宮古島台風
  • 第3宮古島台風
  • 沖永良部台風
順位台風番号国際名通称年日被害死者・不明者負傷者
15915VERA伊勢湾台風1959.09.26-27全国(九州を除く)5,09838,921
25415MARIE洞爺丸台風1954.09.25-27全国1,7611,601
35822IDA狩野川台風1958.09.26-28近畿以北(特に静岡)1,2691,138
45115RUTHルース台風1951.10.13-15全国(特に山口)9432,644
55313TESS昭和28年台風第13号1953.09.24-26全国(特に近畿)4782,559

第1位:伊勢湾台風

  • 犠牲者を3,000人以上出した台風として、室戸台風枕崎台風とあわせて昭和の三大台風に挙げらる。
  • 犠牲者5,098人(死者4,697人・行方不明者401人)、うち愛知県で3,351人(うち名古屋市1,909人)、三重県1,211人と、伊勢湾岸の2県に集中。
  • 伊勢湾台風で最も顕著であったのは高潮による被害であった。

第2位:洞爺丸台風

  • 函館港沖では洞爺丸事故を、岩内町では3,300戸を焼失させる岩内大火を引き起こすなど、北海道を中心に多数の犠牲者を出した台風である。
  • 洞爺丸事故とは、1954年9月26日に青函航路で台風第15号により起こった、国鉄の青函連絡船洞爺丸が沈没した海難事故である。死者・行方不明者あわせて1155人に及ぶ、日本海難史上最大の惨事となった。
  • 豪雨による水害をほぼ起こさなかった反面、強風による被害を大量にもたらした、いわゆる「風台風」であった。

第3位:狩野川台風

  • 台風と前線の影響による豪雨により、伊豆半島の中央部を流れる狩野川では上流部の山地一帯で鉄砲水や土石流が集中的に発生した。
  • 狩野川流域では、破堤15箇所、欠壊7箇所、氾濫面積3,000ha、死者・行方不明者853名に達し、静岡県全体の死者行方不明者は1046人で、そのほとんどが伊豆半島の水害による。

被害総額*

(農・林・水産業被害の合計)

順位台風番号国際名通称年日被害被害額(億円)
18210BESS昭和57年台風第10号1982.08.01-03中国~東北5,916
29119MIREILLE平成3年台風第19号1991.09.24-10.01全国5,735
38115THAD昭和56年台風15号1981.08.20-27近畿以北2,272
47617FRAN昭和51年台風第17号1976.09.08-17全国2,080
59313YANCY平成5年台風第13号1993.08.31-09.05全国(沖縄を除く)1,755

第1位:昭和57年台風第10号

  • 四国地方東部、中国地方東部から東北地方にかけての広い範囲で大雨となり、近畿地方から東北地方にかけては暴風が吹いた。8月1日には、静岡県石廊崎で10.15mの有義波高を観測し、観測開始(昭和51年)以来、第1位の記録となった。 死者・行方不明者は95人。
  • 昭和57年7月豪雨台風10号での被害はほぼ全国に及び、死者数が400人を超す大災害となった
  • 三重県内では台風の豪雨により、国鉄名松線が被害を受け全線が不通となった

第2位:平成3年台風第19号

  • 青森県のリンゴ畑では、収穫前のリンゴが木からほとんど落ち、リンゴの倒木・枝折れの被害に見舞われた。被害金額は741億7千万円とされている。東北地方では通称「りんご台風」と呼ばれる。
  • 日本全土に被害を及ぼし、死者62名、負傷者1,261名が出た。
  • 保険支払額は、史上最高の5,679億円に達した。

第3位:昭和56年台風15号

  • 昭和29年の洞爺丸台風に次ぐ大きな森林被害をもたらした。
  • 昭和40年台風17号以来16年ぶりに関東に上陸した台風で、利根川と鬼怒川の上流山間部では、総雨量300~500mmに達した。利根川水系は、随所で河岸護岸崩壊、漏水、根固め流出などの被害が生じた。
  • 死者1名、負傷者2名。

*データが利用できるもののみ(実際は伊勢湾台風なども上位となると考えられる)

住宅被害

住宅損壊は風の影響、住宅浸水は大雨の影響が支配的となる。

住宅損壊棟数

(住家の全・半壊(焼)・一部破損数)

順位台風番号国際名通称年日被害住家損壊棟数
15915VERA伊勢湾台風1959.09.26-27全国(九州を除く)833,965
26118NANCY第2室戸台風1961.09.15-17全国(特に近畿)499,444
35115RUTHルース台風1951.10.13-15全国(特に山口)221,118
45415MARIE洞爺丸台風1954.09.25-27全国207,542
59119MIREILLE平成3年台風第19号1991.09.24-10.01全国170,447

住宅浸水棟数

(住家の床上・床下浸水数)

順位台風番号国際名通称年日被害住宅浸水棟数
15822IDA狩野川台風1958.09.26-28近畿以北(特に静岡)521,715
25313TESS昭和28年台風第13号1953.09.24-26全国(特に近畿)495,875
37617FRAN昭和51年台風第17号1976.09.08-17全国442,317
46118NANCY第2室戸台風1961.09.15-17全国(特に近畿)384,120
55915VERA伊勢湾台風1959.09.26-27全国(九州を除く)363,611
「風台風」、「雨台風」とは

風台風: 雨による被害は比較的小さく、風による被害が大きい台風。 (例 洞爺丸台風)
雨台風: 風による被害は比較的小さく、雨による被害が大きい台風。 (例 狩野川台風)

台風に対する防災

最後に防災の面で大切だと思うこと。

お住まいの地区にどのような危険があり災害種別(土砂災害・洪水・高潮)ごとに、命を守るためにはどのような避難行動をとる必要があるのか(建物からの立退き避難が必要か、建物の2階などへの移動で命の安全を確保できるか)、自治体の公表しているハザードマップやお住まいの地域で過去に発生した災害の記録を参考に、日頃からしっかり認識しておくことが大切です。

出典:防災気象情報とその効果的な利用 | 気象庁

一番下の表が単独で、気象庁の同じページに掲載されていたけど、文言をみないとどちらの色が危険かすぐに分からなかった。

各位、紫色の方が危険というイメージをもっておきましょう。

<防災危険度 色イメージ>


気象警報等が発表された際に命を守るためにとるべき行動の例

内閣府「避難勧告等に関するガイドライン」を基に気象庁作成

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