数字でみる「日本映画」-業界構造、映画にまつわる統計、興行収入ランキング

数字でみる日本映画

映画『カメラを止めるな!』が話題である。
僕も久しぶりに映画館に足を運んだ。
未視聴の方は是非、なるべく事前情報を入れずに観に行って頂きたい。

ということで、今日は日本映画にまつわる数字を取り上げてみたい。

そのまえに、まずは映画が制作されて僕らの目に届くまでの流れをざっと学んでみよう。

映画業界の仕組み【制作・配給・興行】

見出しの通り、映画の仕組みは大きく「製作」、「配給」、「興行」の3つに分けられる。

イメージは下図を参照してほしい。

※クリックで拡大

お金について、もう少し詳しく。

  • 興行収入 = チケット代×入場者数
  • 配給収入 = 興行収入 – 興行主(映画館)取分
  • 製作者(出資者)取分 = 配給収入 – P&A費 – 配給手数料
  • 配給手数料:配給会社の収入 = (配給収入 – P&A費)* 契約比率(概ね10~30%)
  • P&A費(プリント費&宣伝費):通常、配給会社が立て替える。必要経費としてトップオフされる。

興行収入が20億円の場合を例に挙げると、

  1. チケット代1枚1800円、劇場動員数111万人で興行収入は約20億円
  2. 契約によるが、およそ半分の10億円が興行主(映画館)の取り分となり、配給収入は残りの10億円となる
  3. P&A費が3億円とする。これは、配給会社が立て替えているので、配給収入からトップオフ(精算)され、残りが7億円。
  4. 配給手数料は、契約によるが(P&A費トップオフ後の)配給収入の10~30%である。仮に20%とすると、7億円の20%の1.4億円が配給会社の取り分となる。
  5. 製作者の取り分は、残りの5.6億円

となる。

映画にまつわる統計

どういう統計を当たろうかと思っていたが、映連(一般社団法人日本映画製作者連盟)という団体により年次(1-12月)の統計が集計されているのでそちらを紹介する。

“映連”とは

映画製作配給大手四社(松竹株式会社、東宝株式会社、東映株式会社、株式会社KADOKAWA)の団体。

映画製作事業の健全なる発展を目的とし、会員間の不公正防止、海外輸出の促進、国際映画祭の参加、国内外資料の蒐集作成及び公的機関、関連団体との折衝などを行う。

入場人員と一人あたりの年間視聴観賞数の推移

昨年2017年の入場人数174,483千人(のべ人数)。
日本人総人口を1億2670万人とすると、単純に1人当たり年間1.4回映画館で映画を観賞したことになる。

下記のグラフは1955年から昨年2017年までの入場者数の年次推移。

1950年代ってなんでこんなに映画観てたの(笑)?

述べ人数を当時の総人口で除した年間平均回数でみると、ピークの1958年には年間約12回つまり1月に1回ペース、現在と比較すると約9倍も映画館を利用していたということだ。

さて、1960年代以降からの入場者数の減少の原因はおそらくテレビの普及だ。

◆ 昭和 5(1950)年 NHKが実験放送を開始
◆ 昭和28(1953)年  2月にNHKが本放送を開始。8月に民放も放送開始。
◆ 昭和32(1957)年  国産カラーテレビ発売

出典:一般社団法人 家庭電気文化会

娯楽の中心がTVに移行し、“映画館”から人々が離れたのは間違いないが、“映画”から人々離れたかはまだ分からない。

1960年代以降はTV放送で、1990年代以降はTSUTAYAに代表されるレンタルビデオ店で、そして近年はネット配信でと、人々が映画を楽しむ形態が変化しているに違いない。

興行収入の推移

続いては興行収入。
先程も説明したが、ざっくり[のべ入場者数*チケット金額]と考えてよい。

昨年2017年の年間興行収入は2286億円
多少の上下の変動はあるが概ね右肩上がりだ。
ちなみに過去最高は2016年の2355億円

映画1回の観賞に使う平均金額の推移

では、興行収入をのべ入場者数で除した値、つまり映画を1回観賞するのに使う平均金額の推移を調べてみる。

青線が当時の金額、橙線が物価変動を考慮した現在の価値に換算した金額だ。
後者(現在価値)をもとにみると、統計が始まった1955年は約400円で映画が観賞できた。
その後一向に上昇するが1978年をピークにほぼ横ばいだ。

2018年現在、通常チケット価格が1,800円なので皆なにかしらお得な方法を駆使して、実質500円安い価格で観賞していることがわかる。

※現在価値は消費者物価指数を基に算出

映画公開本数の推移

昨年2017年の公開本数は邦画594本、洋画593本の計1187本過去最高となった。
年間1000本を越したのはここ5年だ。

邦画と洋画のシェア推移

興行収入(※1955~1999年までは配給収入)をもとに、邦画と洋画のシェアの推移が下グラフとなる。

90年代~00年代前半までは洋画に押され気味だったが、近年邦画もがんばっている。

映画館スクリーン数の推移

映画館のスクリーン数は、昨年2017年末時点で全国で3525
その内、3096スクリーンがシネコン。
そう、ほとんどシネコンだ。

総スクリーン数に占めるシネコンの割合は、88%にのぼる。
2000年時点では45%とまだ少数派だったのだが、今や単館系映画館は風前の灯火だ。

シネコンとは

シネマコンプレックス(cinema complex)とは、同一の施設に複数のスクリーンがある映画館である。シネコン、複合映画館とも呼ばれる。

歴代映画興行収入ランキング

日本国内

では、最後におなじみの興行収入ランキングを。

まずは日本国内から。
上位10作品のうち、半数がアニメ作品だ。

順位興行収入(億円)タイトル公開年
1304.0千と千尋の神隠し2001
2262.0タイタニック1998
3254.8アナと雪の女王2014
4250.3君の名は。2016
5203.0ハリー・ポッターと賢者の石2002
6196.0ハウルの動く城2005
7193.0もののけ姫1997
8173.5踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!2003
9173.0ハリー・ポッターと秘密の部屋2003
10156.0アバター2010

全世界

第一位のアバターが約3,000億円なので、日本の上位作品も1/10くらいのスケールは維持できているんだと個人的には安心した。

順位興行収入(百万ドル)タイトル公開年
12,788アバター2009
22,187タイタニック1997
32,062スター・ウォーズ/フォースの覚醒2015
42,045アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー2018
51,669ジュラシック・ワールド2015
61,520アベンジャーズ2012
71,515ワイルド・スピード SKY MISSION2015
81,405アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン2015
91,347ブラックパンサー2018
101,342ハリー・ポッターと死の秘宝 PART22011


以上。

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